
読書をする際に電子書籍と紙の本、どちらを選べばいいか迷うことはありませんか?電子書籍と紙の本の選択は単なる好みではなく、読む目的や環境によって使い分けたほうが便利です。この記事では電子書籍と紙の本のメリットとデメリット、電子書籍と紙の本の選び方について解説します。
記事を読めば自分の読書スタイルに最適な媒体を選べるようになり、充実した読書ライフを送れます。
電子書籍のメリット

電子書籍のメリットは、以下のとおりです。
- 持ち運びしやすい
- 価格が安い
- 検索機能がある
- 読み放題サービスがある
- 環境に優しい
持ち運びしやすい
電子書籍は複数の本を1台のデバイスに保存可能です。電子書籍は片手で快適に読めるため、長時間の読書でも負担が少なくて済みます。電子書籍の同期機能を使うことで、スマートフォンで読んでいた本の続きをタブレットでも読めます。
電子書籍は移動中や隙間時間に手軽に読書を楽しめるので、忙しい現代人の生活スタイルに最適です。
» 電子書籍とは?紙との違いとメリット・デメリットを解説
価格が安い
電子書籍は印刷費や在庫管理、物流コストがかからないため、紙の書籍より20〜50%も安く購入できる場合が多くあります。電子書籍をお得に買える主な機会は、以下のとおりです。
- セールやキャンペーン
- まとめ買い割引
- ポイント還元
電子書籍は試し読み機能もあり、内容を確認してから購入できるので自分に合った本を見つけやすくなります。
» 電子書籍のメリットとは?デメリットと比較解説!
検索機能がある
検索機能があることも電子書籍のメリットの一つです。電子書籍は単語や文章をキーワード検索するだけで、瞬時に目的の箇所にジャンプできます。技術書や学術書など、情報量の多い本では検索機能が便利です。
電子書籍の検索機能を活用すると仕事や研究の情報収集の効率が大幅に向上します。電子書籍には検索履歴を保存できるタイプも多く、あとから同じ情報を探し直す手間も省けます。
読み放題サービスがある
電子書籍には月額定額で多数の書籍が読み放題になる、サブスクリプションサービスが多くあります。サブスクリプションサービスを利用すると、書籍購入コストを大幅に抑えながら本を楽しめます。サブスクリプションサービスの代表的なものは、以下のとおりです。
- Kindle Unlimited
- Amazon Prime Reading
- 楽天Koboプラス
- dマガジンやdブック
電子書籍の読み放題サービスを利用すれば、新しいジャンルや著者の作品を気軽に試し読みできます。読み放題サービスは契約中であれば何度でも読み返せるので、参考書や辞書代わりに使える点も魅力です。
» Kindleの使い方を詳しく解説!アプリの快適な使い方も紹介
環境に優しい
電子書籍は紙の消費量を削減できるので、森林資源の保全につながります。印刷資材や輸送コストも不要で在庫を持たなくて済むため、売れ残りによる廃棄の心配もありません。最新版への更新が電子的に行えるので、旧版を捨てる必要がないことも電子書籍のメリットです。
電子書籍のデメリット

電子書籍のデメリットは、以下のとおりです。
- 読むためのデバイスが必要になる
- データ消失のリスクがある
- 目が疲れる
- 物理的な所有感がない
電子書籍は、操作や閲覧方法に慣れるまでに時間がかかる場合があるため注意しましょう。
読むためのデバイスが必要になる
電子書籍を楽しむには専用の電子書籍リーダーやタブレット、スマートフォンなどのデバイスを用意する必要があります。デバイスを持っていない方は購入する必要があり、電子書籍専用リーダーは1万円前後します。
デバイスは画面サイズや解像度、バッテリー持続時間など、読書スタイルや用途に合ったタイプを選びましょう。
データ消失のリスクがある

データ消失が起こる原因の一つは「利用しているサービスが終了する」ことです。過去には大手電子書籍ストアのサービス終了により、購入済みコンテンツが閲覧できなくなった事例もあります。サービス終了以外に考えられるデータ消失の要因は以下のとおりです。
- クラウドサービスのトラブル
- アカウント情報の消失
- デバイスの故障やウイルス感染
- ライセンス契約の変更
- バックアップ機能の欠如
- クラウド同期の設定ミス
- DRMの仕様変更
データ消失リスクを軽減するために、重要な電子書籍は別の形式でバックアップを取っておくことが大切です。DRM保護(※)されたコンテンツは、法的にバックアップが難しい場合もあるため注意してください。思い入れのある書籍や長期的に参照したい専門書などは紙の本と併用しましょう。
※ DRM保護とは、Digital Rights Management(デジタル著作権管理)のことです。デジタルコンテンツの不正利用や複製を防ぐ技術や仕組みを指します。
目が疲れる
電子書籍は目の疲れを感じやすくなります。目が疲れる大きな理由は、デジタル画面から発するブルーライトの影響です。小さな画面で文字を読むと目を凝らす必要があるため、負担が大きくなります。
画面からの直接光が目に入ることも目の筋肉に負担をかける原因の一つです。バックライト付きの画面により目の乾きが促進され、不適切な明るさや輝度設定が目の疲労を増加させます。電子書籍を長時間読むことによって目のピント調整に負担がかかる点も無視できません。
夜間に電子書籍を読むことも好ましくありません。就寝前のデバイス使用は睡眠サイクルを乱し、目の疲労回復を妨げます。
物理的な所有感がない
紙の本なら本棚に並べて眺める満足感があり、コレクションとして視覚的に所有を実感できます。電子書籍に物理的な所有感がないことで感じる不満点は、以下のとおりです。
- 本棚に並べる喜びがない
- 貸し借りができない
- 物理的な書き込みができない
- 資産価値がない
電子書籍は、厳密には「購入」ではなく「利用権の取得」として扱われることが一般的です。本を集める喜びや本棚を眺める満足感を大切にする方にとっては、電子書籍の所有感の薄さは大きなデメリットです。
» 電子書籍をやめたほうがいい人と使うべき人の特徴を比較解説!
紙の本のメリット

紙の本のメリットは以下のとおりです。
- 読みやすくて集中できる
- 物理的な所有感がある
- 装丁や紙質を楽しめる
- 電力を使わずに読める
紙の本は直感的な操作性があり、特別な知識がなくても読書を楽しめます。
読みやすくて集中できる
紙の本は目が自然な状態で文字を追えるため、電子書籍に比べて読みやすく眼精疲労が少なくなります。紙の本が電子書籍より読みやすい理由は、以下のとおりです。
- ブルーライトの影響がない
- 紙の質感を感じられる
- ページをめくる動きがある
- 進行度が目で確認できる
- デバイスの操作方法を覚える必要がない
紙の本は紙面全体を一度に見渡せるため、文脈を理解しやすく読書の質が高まります。読書中にマーカーや付箋などで本に直接書き込みができる点も、紙の本ならではの魅力です。能動的な関わりが理解度を向上させ、学習効果を高めてくれます。
デジタルデバイスのような複雑な操作が不要であることも、紙の本が読書に集中できる理由の一つです。
物理的な所有感がある

物理的な所有感があるのは、紙の本の大きな魅力の一つです。実際に本を手に取り、重さや質感を感じられる点は電子書籍では得られない喜びです。本棚に並んだ本を見ることで、自分の読書履歴や知識の蓄積を視覚的に確認できる点も大きな満足感につながります。
紙の本は読了後も本棚に飾り、達成感や思い出を形として残せます。デジタルデータではなく実体として存在するため、サービスの終了や技術的トラブルによって失われる心配がない点もメリットです。大切な本は世代を超えて子や孫に継承もできます。
装丁や紙質を楽しめる
紙の本の魅力の一つに、装丁や紙質の美しさを楽しめる点があります。紙の本は電子書籍では味わえない、視覚や触覚を通じた豊かな読書体験が得られます。紙の質感や厚みを指先で直接感じられる点も紙の本ならではの楽しみです。読書体験を豊かにしてくれる要素は、以下のとおりです。
- 革装や布装、箔押しなどの高級感のある装丁
- 限定版・特装版ならではの美しいデザイン
- 本ごとに異なる紙質や手触りの違い
本のページをめくる音や感触も読書を五感で楽しむ大切な要素です。古書や希少本の場合、経年変化による独特の風合いを楽しめます。装丁や紙質を楽しむ体験は、電子書籍では完全に再現できない紙の本ならではの魅力です。
電力を使わずに読める
紙の本はバッテリー残量を気にしたり、充電器を探したりする必要はありません。紙の本による読書は以下のような状況でも楽しめます。
- 停電で電気が使えないとき
- アウトドアや旅行中
- 長時間の読書をするとき
- 災害で電気が使えないとき
紙の本であれば、電波の届かない場所でも問題なく読めます。電力に依存しないため、年月が経ってもすぐに読める点がメリットです。
紙の本のデメリット

紙の本のデメリットは以下のとおりです。
- 保管スペースが必要になる
- 劣化のリスクがある
- 高価になることが多い
- 持ち運びに向いていない
文字検索やハイライト機能などのデジタル機能が使えない点も、紙の本の不便さとして挙げられます。
保管スペースが必要になる
紙の本は保管するためのスペースが必要です。本を増やすほど、置くための場所を確保しなければなりません。都市部のマンションや狭い住宅に住んでいる方にとって、本棚の設置場所には限界があります。
紙の本を長期保存するためには、温度・湿度管理も必要です。湿気対策などの保管環境をおろそかにすると、大切な本が傷んでしまいます。紙の本の場合、蔵書が増えるほど管理や整理の手間も大きくなります。
劣化のリスクがある

紙の本は時間の経過とともに劣化していくリスクがあります。紙の本の劣化はさまざまな形で現れ、紙そのものが経年変化によって黄ばんだり変色したりします。古い本や質の低い紙を使った本ほど劣化が早く進むので注意が必要です。
保管環境によっても劣化の進み方は大きく変わります。以下のような環境が劣化を早める原因です。
- 湿気の多い場所の保管
- 虫食いなどの害虫被害
- 直射日光
- 雑な扱い
- 頻度の高い読書
- 本についた汚れの放置
本の表面には汚れや指紋が付きやすく、一度付いてしまうと完全に除去することは困難です。保管状態が悪いと本の製本に使われている接着剤も劣化し、ページがバラバラになってしまう場合もあります。
1980年以前の酸性紙が使われている本は、注意が必要です。酸性紙が使われている本は、時間の経過とともに自然崩壊する恐れがあります。
高価になることが多い
紙の本は印刷コストや流通コストがかかるため、電子書籍と比較して高い価格設定になる場合が多くあります。価格が高くなりやすい紙の本の特徴は、以下のとおりです。
- 新刊や人気作品
- 全巻セットや大型本
- 海外書籍や専門書
- 絶版になった人気作品
紙の本を購入する場合は、付随コストが発生することも忘れてはいけません。本の傷みを防ぐブックカバーや増え続ける本を収納する追加の本棚など、収納家具の費用も考慮する必要があります。長期的に見ると紙の本を集めることは、電子書籍よりも経済的負担が大きくなる傾向があります。
持ち運びに向いていない
紙の本は重く、複数冊を持ち運ぶには不向きです。ハードカバーや厚みのある本は携帯性が悪く、移動中の読書には適していません。電車内やカフェなどの狭い場所では、大きな本を広げるのが難しい場合もあります。
通勤時間や外出先での空き時間に読書を楽しみたい方にとっては、紙の本の重さとかさばりは無視できないデメリットです。
» 本の一般的なサイズから特殊なサイズまでを解説!
電子書籍と紙の本の選び方

電子書籍と紙の本の選び方は、以下のとおりです。
- ライフスタイルに合わせて選ぶ
- コンテンツの種類に合わせて選ぶ
電子書籍と紙の本は、状況や目的に応じて使い分けることで読書生活が豊かになります。
ライフスタイルに合わせて選ぶ
ライフスタイルに合った読書媒体を選ぶと、読書を続ける習慣が身に付きやすくなります。以下の表は、ライフスタイル別におすすめの読書媒体をまとめたものです。
ライフスタイル | おすすめ媒体 | 理由・メリット |
通勤・通学で長時間移動する | 電子書籍 | 片手で読めて持ち運びしやすい |
自宅でゆっくり読みたい | 紙の本 | 読書体験が深まる・集中しやすい |
引っ越し・海外赴任が多い | 電子書籍 | 荷物が増えず、保存がしやすい |
寝る前に読む習慣がある | 紙の本 | 目に優しい |
複数の本を同時に読む | 電子書籍 | 管理がしやすく検索もしやすい |
本をコレクションしたい | 紙の本 | 並べる楽しさ・所有欲がある |
アウトドアや外出先で読む | 防水電子書籍・紙の本 | 持ち運びやすく、汚れても気にならない |
長時間のフライトが多い | 電子書籍 | 荷物を軽く保てる |
読書場所が定まらない | 電子書籍 | どこでも読める |
家族で本を共有したい | 紙の本・家族アカウント付き電子書籍 | 共有・管理がしやすい |
生活習慣や優先事項に合わせて電子書籍と紙の本を使い分け、自分に合った読書スタイルを見つけましょう。
コンテンツの種類に合わせて選ぶ
読む内容によって、電子書籍と紙の本には向き不向きがあります。コンテンツの種類に応じた最適な読書媒体は以下のとおりです。
コンテンツの種類 | 向いている媒体 | 理由・特徴 |
小説・エッセイ・エンタメ本 | 電子書籍 | 通勤やスキマ時間に読める |
写真集・アートブック | 紙の本 | 紙ならではの質感を楽しめる |
学習書・参考書 | 両方(用途に応じて) | 書き込みするなら紙が向いている 検索するなら電子書籍が向いている |
技術書・辞書・専門書 | 電子書籍 | キーワード検索で効率よく調べられる |
マンガ | 両方 | 保管目的なら電子が向いている コレクション目的なら紙が向いている |
料理本 | 紙の本 | 汚れを気にしなくて済む |
児童書 | 紙の本 | 読み聞かせしやすい |
コンテンツの種類に応じて電子書籍と紙の本を使い分けることで、充実した読書時間を楽しめます。
まとめ

電子書籍と紙の本には、それぞれ独自のメリットとデメリットがあります。電子書籍は持ち運びやすさや価格の安さ、検索機能や読み放題サービスなどのメリットがあります。紙の本は読みやすさや集中しやすさ、所有感、装丁や紙質の楽しみ、電力不要といった点が魅力です。
一方で、電子書籍は画面の疲れや端末の充電切れ、紙の本は収納スペースの問題や持ち運びの不便さといったデメリットもあります。
電子書籍と紙の本どちらを利用するかは、ライフスタイルやコンテンツの種類、読書シーンに合わせて使い分けましょう。目的や状況に応じて電子書籍や本を使い分ければ、読書の楽しみや学びの効果をより深められます。