
デジタル技術の進化により、紙の本から電子書籍への移行を考えている方も多くいます。この記事では、電子書籍の主なメリットとデメリット、初心者でも簡単に始められる方法を解説します。
記事を読めば、自分の生活スタイルに電子書籍が合っているかを判断することが可能です。電子書籍は持ち運びの便利さや収納スペースの節約など多くのメリットがありますが、デメリットもあります。自分のライフスタイルに合わせて、紙の本と電子書籍をうまく使い分けることが最適な読書環境を作るコツです。
電子書籍のメリット

電子書籍には以下のように、多くの便利な特徴があります。
- 持ち運びがしやすい
- 在庫切れがない
- 文字やフォントの調整ができる
- ページの保存やメモ書きがしやすい
- 環境に優しい
- 紙の本より安く手に入ることが多い
- 読み上げ機能などの便利機能がある
- 本棚がいらない
- 紙の劣化を気にする必要がない
- 改訂版がすぐに手に入る
電子書籍を利用するか迷っている場合は、メリットを理解することがポイントです。
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持ち運びがしやすい
電子書籍の最大のメリットは、複数の本を一つのデバイスに保存し、持ち運べる点です。重い本を何冊も持ち歩く必要がなくなるので、バッグの中身が軽くなります。実際に電子書籍を使うと、数百冊の本を持ち運びできて、通勤や旅行時に携帯しやすくなります。
通勤時間や旅行中など、限られたスペースでも快適に読書が可能です。
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在庫切れがない

電子書籍の大きな魅力は、人気作品でも「売り切れ」の概念がまったくない点です。実店舗の本屋さんでは、話題の新刊が入荷してもすぐに品切れになることがよくあります。電子書籍なら売り切れの心配は不要です。人気の新刊を24時間365日いつでも確実に購入できます。
地方では取り扱いがなかったり入荷が遅れたりする本も、電子書籍なら確実に入手できます。
文字やフォントの調整ができる
電子書籍では以下の設定を、自分好みに調整可能です。
- 文字の大きさ
- フォント
- 行間や文字間隔
- 背景色や明るさ
- 縦書き・横書き
- ルビ表示
視力や読書環境に合わせて自由にカスタマイズできるため、より快適な読書体験が楽しめます。画面の明るさや色合いを自動的に調整してくれるので、寝る前の読書でも目に優しい設定が可能です。
ページの保存やメモ書きがしやすい

紙の本では付箋を貼ったり直接書き込んだりする必要がありますが、電子書籍ではより便利に情報を整理できます。ほとんどの電子書籍リーダーには、ブックマーク機能が標準で搭載されています。
気になるページを見つけたらワンタップするだけで保存でき、後から簡単に参照できるので読書の効率化が可能です。デジタルハイライト機能やテキストメモ・注釈、手書きメモ機能は、電子書籍ならではの便利な機能です。学習や研究目的で電子書籍を活用する場合、電子書籍の機能が役立ちます。
検索機能を使えばメモやマーカーした箇所にすぐにアクセスできるため、必要な情報をすぐに見つけられます。
環境に優しい
電子書籍は、紙の生産が不要です。森林伐採を減らせるだけでなく、印刷工程で使われる化学物質や水の消費も削減できます。
一冊の紙の本を作るためには大量の水と木材が必要ですが、電子書籍では不要となります。長期的に見ると、電子書籍は出版業界の過剰生産を抑制し、返品や古本の廃棄による廃棄物も減らすことが可能です。
紙の本より安く手に入ることが多い
電子書籍は紙の本と比較して定価よりも2〜3割安く販売されていることが多く、家計の負担を軽くできます。電子書籍が安価な理由は、紙の本で必要となる印刷費用や在庫管理、物流コストがかからないためです。電子書籍ならではの価格メリットとして、以下の特徴があります。
- セールやタイムセール
- ストア間の価格競争
- 高いポイント還元率
- バンドル販売
- 古い作品の手頃価格
定額制の読み放題サービスも、電子書籍の魅力の一つです。出版社が直営する電子書籍ストアでは、独自の割引が適用されることもあり、お得に購入できる機会が増えています。
読み上げ機能などの便利機能がある

電子書籍には、読み上げ機能をはじめとする多くの便利な機能が備わっています。電子書籍では従来の紙の本では体験できなかった、新しい読書スタイルを楽しむことが可能です。音声読み上げ機能を使えば、目を使わずに本の内容を聴けるので、移動中や家事をしながらでも読書を楽しめます。
忙しい日常の中でも、読書の時間を確保できるのは大きなメリットです。電子書籍には辞書機能が内蔵されており、わからない単語をタップするだけですぐに意味を調べられます。本文内の単語検索機能で、気になるフレーズやキーワードをすぐに見つけることも可能です。
テキストのハイライトや注釈の追加が簡単で、学習効率の向上も期待できます。
本棚がいらない
電子書籍は、物理的な本棚が必要ありません。限られたスペースで生活している方にとって、本棚が必要ないことは大きなメリットとなります。物理的な本棚がいらないことで、以下のメリットが生まれます。
- 狭くても大量の蔵書を保持可能
- 引っ越し時の手間削減
- 本棚購入・設置コスト不要
- メンテナンス・掃除の手間削減
- 部屋のスペース有効活用
一人暮らしのワンルームマンションでも、電子書籍なら数千冊の蔵書を持つことが可能です。引っ越しのときも、重い本をダンボールに詰めて運ぶ必要がありません。スマホやタブレット一台あれば、すべての蔵書を持ち運べます。
紙の劣化を気にする必要がない

紙の劣化を一切気にする必要がないことも、電子書籍の大きな魅力です。通常の紙の本は時間とともに黄ばんだり、変色したりしますが、電子書籍では劣化の心配はありません。電子データとして保存されているので、何年経っても購入したときと同じ状態で読めます。
紙の本によくある経年劣化による破れや折れ、湿気によるカビや変形などの問題が発生しません。紙の本は適切な温度や湿度を保つための管理が必要ですが、電子書籍では保存環境にも気を使わなくても良いメリットがあります。
改訂版がすぐに手に入る
電子書籍は、改訂版がすぐに手に入ります。紙の本では新しい版が出るたびに買い直す必要がありますが、電子書籍では買い直しの手間がかかりません。電子書籍は、出版社が内容を更新した改訂版をリリースすると、すぐに新しい内容が反映されます。
すでに購入済みの電子書籍は、無料または低価格で最新版に更新できるため、経済的にも大きな負担がありません。技術書や教科書、辞書などの書籍は内容が頻繁に更新されるため、常に最新の情報にアクセスできます。
電子書籍のデメリット

電子書籍には、以下のデメリットが存在します。
- 目の疲れやブルーライトの影響がある
- デバイスの故障や紛失のリスクがある
- 充電する必要がある
- 中古販売や貸し借りができない
- サービス終了やシステム変更のリスクがある
- 紙の質感や匂いがない
- 紙の本よりも集中力が必要とされる場合がある
目の疲れやブルーライトの影響がある
電子書籍を長時間読むと、目の疲れが蓄積しやすくなります。タブレットやスマホから発せられるブルーライトは、目の負担になるだけでなく、体内時計にも影響を与えやすい傾向です。紙の本と違って、電子書籍は画面から直接光を発しているため、目への負担が大きくなります。
ブルーライトにより目の乾燥や眼精疲労、頭痛や肩こりなどの問題が起こる可能性があります。子どもの場合は、視力発達にも悪影響を与える可能性があるので注意が必要です。就寝前に電子書籍を読むと、ブルーライトの影響で睡眠ホルモンの分泌が抑えられ、睡眠の質が低下します。
長時間読む場合は、画面の明るさやコントラストを適切に調整したり、定期的に目を休ませたりすることが大切です。
デバイスの故障や紛失のリスクがある

電子書籍を利用するときの大きな不安要素として、デバイスの故障や紛失のリスクがあります。電子書籍は基本的にデジタルデバイスで読むため、機器のトラブルが直接読書体験に影響します。デバイスが故障すると、保存されている書籍データにアクセスできません。
紛失や盗難の場合は、端末内のすべての書籍が一度に失われてしまう深刻なリスクがあります。旅行中や外出先でデバイスが故障した場合、修理が難しく、読書が続けられません。故障した場合の修理期間中に読書をするためには、別の方法が必要です。
充電する必要がある
電子書籍を利用するには、定期的な充電が必要です。電子書籍リーダーやタブレットなどのデバイスは、バッテリーがなければ使えなくなります。長時間の外出や旅行のときには、以下の不便さがあります。
- 充電器を常に持ち歩く必要がある
- 電源のない環境での使用ができない
- バッテリー残量の確認が必要である
- 充電時間が必要である
紙の本であれば電源がなくても好きなときに読めますが、電子書籍は常に充電の制約がついて回ります。
中古販売や貸し借りができない
電子書籍は紙の本と違って、中古販売や貸し借りができない制限があります。電子書籍には著作権保護のため、DRM(デジタル著作権管理)という仕組みが導入されています。DRMによって、購入した電子書籍を他の人に譲渡したり貸し出したりすることが、技術的に制限されているのが現状です。
多くの電子書籍ストアでは、他者への譲渡や貸与の禁止や転売禁止といった利用規約の面での制限を設けています。
サービス終了やシステム変更のリスクがある

電子書籍は、サービス終了やシステム変更によって、コンテンツにアクセスできなくなるリスクがあります。過去には電子書籍サービスが突然終了し、ユーザーが購入した本にアクセスできなくなった事例が複数あります。
多くの電子書籍サービスはクラウドベースで提供されているため、インターネット接続がないと本を読めません。海外に移住した場合は地域ライセンスの問題で、すでに購入済みのコンテンツにアクセスできなくなります。
紙の質感や匂いがない
電子書籍では、紙の質感や匂いを感じられません。紙の本には、新しい本を開いたときの紙の香りや、古書特有の懐かしい匂いがあります。電子書籍では決して味わえない、指先で紙をめくる感触やページをめくるときの微かな音も、紙の本の楽しみの一部です。
電子書籍では新刊特有の印刷インクの香りや古書の独特の匂い、紙の質感や手触りなどの感覚的体験が失われています。
紙の本よりも集中力が必要とされる場合がある
電子書籍を読むときは、紙の本と比べて集中力が必要になります。電子書籍を読んでいると、画面からの光や突然の通知によって注意が散漫になりやすい傾向です。スクロールやタップなどの操作が必要なため、読書への没入感が妨げられることもあります。
画面の光や通知、スクロールやタップ操作は、電子書籍を読むときに集中力を妨げる要因です。研究によれば、画面上の文字は紙に印刷された文字よりも認知的な負荷が高いとされています。
電子書籍の始め方

電子書籍を始めるときのポイントは、以下のとおりです。
- 電子書籍ストアの選び方
- 電子書籍リーダーとデバイスの選択
電子書籍に慣れれば検索や同期、フォントサイズ調整など便利な機能を活用でき、どこでも快適に読書を楽しめます。
電子書籍ストアの選び方
電子書籍を読み始めるなら、自分に合った電子書籍ストアを選ぶことが重要です。以下のポイントをチェックするのがおすすめです。
- 本の品揃えと専門分野
- アプリの使いやすさと機能性
- 価格と割引制度
- 対応デバイスの多様性
- オフライン読書機能
- 同期機能
- 試し読み機能
最初は複数のストアを試してみて、使い勝手の良さを比較してから決めるのも一つの方法です。
電子書籍リーダーとデバイスの選択
電子書籍を楽しむためには、適切なデバイスを選ぶことが重要です。電子書籍にはKindleや楽天Kobo、BooxやiPadなどさまざまな選択肢があり、それぞれに特徴があります。デバイス選びで最も重要なのは、ディスプレイの種類です。
E-Inkディスプレイは、紙に近い読み心地で目に優しく、バッテリーも数週間持続します。iPadなどの液晶ディスプレイは鮮やかな色表示ができますが、バッテリー寿命は数時間程度と短めです。画面サイズは6〜10インチが一般的です。
まとめ

電子書籍は、持ち運びやすさや在庫切れがないこと、文字調整が自由にできる点が大きな魅力です。環境への配慮やコスト面での優位性も見逃せません。しかし、目の疲れやデバイスの故障リスク、充電の必要性といったデメリットもあります。
紙の本特有の質感や匂いを楽しめないことや中古販売ができない点も考慮すべきポイントです。電子書籍を始めるときは、自分に合った電子書籍ストアの選択と最適なデバイスの選定が大切です。読書スタイルに合ったストアや使いやすいデバイス、予算などに注意してデバイスを選びましょう。
電子書籍と紙の本の良さを理解したうえで、自分のライフスタイルに合わせて使い分ければ、最適な読書体験につながります。
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